金曜日の夜10時に放送されたNHKスペシャル〜ベネズエラ.7年目のチャベス革命〜をビデオに録画し、昨日から今日にかけじっくり見た。最近のNHKにしては珍しい非常に中身のある番組であった。すでにBLOG BLUESさんや三四郎日記さんが書かれているが私も書いてみたい。アメリカとアメリカに支配される国の構図が極めて解りやすいと思う。ベネズエラは世界で4番目の産油国であり、すでに100年も前からアメリカが利権をむさぼっていたのである。南米ではもっとも豊かな国ではあるが極端な格差社会で人口の6割にあたる人々は坂にできたバリオというスラムに住んでいて教育も受けられず食べ物に困る人が多かったのだ。偽りの民主主義のために民衆は餓え、1989年には暴動が起き、2000人以上の人が殺されているのだ。そんな国に選挙で今のチャベス政権が誕生し、アメリカの利権を取り戻し、その金で15万戸に及ぶ住宅を建設したり、1万ケ所の診療所を作ったり、住民の自主管理による工場を建設していったという。各ブロックごとに市民食堂が設けられ、政府からの食材をボランティアによって調理され飢えた人を満たしていったのだ。そんな動きを旧支配層やアメリカが黙って見逃すわけはない。2002年の4月に民主主義と自由貿易の妨害者であるチャベスを倒すためのクーデターが行われ、チャベスも拘束された。しかし民衆は立ち上がり、クーデターは失敗に終わったのだ。ここで凄いと思うのは如何に後ろにアメリカがついていようとも民衆の圧倒的な声の前には退却せざるを得なかったということである。ボリビアに出来た左派政権やキューバなどと協力しながら脱米救国の南アメリカ連合を形成しつつあるという。元々スペインから独立した国なので言葉もスペイン語である。ただ唯一西側に位置するコロンビアが親米国で西側からベネズエラを伺っている。コロンビア内には脱米を目指す左翼ゲリラがおり、国軍だけでは応酬できないということでパラミリタリーという右派の民兵を組織訓練して育て、今や3万人ほどの勢力になっているが国軍の統率からさえ独立しているという。その民兵がベネズエラの首都カラカスの郊外の農場で秘かに訓練をしていたところを200人が検挙されたのだ。その農場を提供していたのは亡命キューバ人のロベルト・アロンソという男で事件後、アメリカのマイアミで秘かにインターネットでチャバス政権を倒すことを呼び掛けているという。このあたりの事情については「チャベス政権、コロンビア準軍事組織を摘発」が詳しい。
2002年4月のクーデターも、2002年12月からの石油サボタージュも、大統領罷免の「国民投票」運動も、そして今回の事件も、米国が国内の反チャベス勢力の背後で画策した結果である。チャベス派と反チャベス派とが、権力機関から政治、経済、メディアのあらゆる分野でせめぎ合いを続けているベネズエラでは、米国の干渉との闘いはとりわけ重要になっている。米国情報公開法に基づいて入手した文書によれば、米国政府からの資金がベネズエラ国内の反チャベスグループに直接支給されていることが分かっている。チャベス大統領は米国を直接名指しして「侵略者であり殺人者である帝国主義勢力」と呼んだ。
原油価格が高騰する中、イラクと中東、中央アジア、アフリカから奪うだけでは気が済まず、世界中から石油を略奪しようと躍起になっているアメリカのことである。キューバとも団結し反米姿勢を強めているOPECの有力なメンバーベネズエラは目の上のたんこぶ。しかも中東と違い、ベネズエラはアメリカに近い。ブッシュはベネズエラの石油を、喉から手が出るほど欲しいのだ。
よく後進国の貧しさの原因を「怠け者で働かないからだ」などと勘違いしている人間が多い。イギリスが中国に仕掛けたアヘン戦争から麻薬が使われたように欧米の先進国が植民地化する過程で麻薬などが用いられ人々を最低の状態にするということはよくあることだ。民主主義というのはアメリカの独裁を保証するものにしか過ぎないし、自由というのはアメリカが植民地から自由に富を収奪することを意味している。コロンビアの右派の民兵などは本来であれば左翼ゲリラと共に闘うべき立場であるにも関わらずおいしい人参で釣られて闘っているにしか過ぎない。売国奴を支持して反日行為をしているのに脱米救国を目指す愛国者を「反日」などと呼んでいるどこぞの人間と基本的構図は同じなのだ。
米国とベネズエラの寡頭支配層に私物化され収奪され、反革命派の拠点となってきた国営石油公社をベネズエラ人民の手に取り返したチャベス政権は、その莫大な石油収入を米系石油メジャーや一握りの特権的支配層のポケットに入れるのではなく、人民のための福祉、人民のための社会事業に還元する大事業を開始した。石油公社の収益や施設を利用して、全国に500ヶ所の診療所整備や100万人を対象にした識字教育など10分野の社会事業に乗り出したのだ。首都カラカス西部の低所得者居住区に今年4月にオープンした公営病院「人民診療所」では、貧困層に無料で医療を提供、院内は患者でごった返しているという。「ボリーバル革命」の人民革命的性格がいよいよ鮮明になり始めた。
世界はアメリカと日本だけではないのだ。こういう国が現に存在し、アメリカの圧力を跳ね返しながら立派な国を作ろうとしている。なんと感動的で素晴らしいことか!NHKが今の時期にこのような番組を流したのかその意図はわからないが少なくとも良識ある人はまだまだ多いのだと思う。
「アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名運動」はなかなかよくまとまっているベネズエラのこともイスラエルのこともきちんと書いているし、更新頻度も高いようである。

テーマ:イラク戦争4年目 - ジャンル:政治・経済
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