1.大企業の景気が良いのはあたりまえ
上の図を見て欲しい。2〜3日前にウェブ上で見つけた図なのだが、ブラウザの履歴を見てもどんなキーワードで検索したか不明なのでリンクなしで引用させていただく。
極めてシンプルな図ではあるが今の格差社会を考察するにあたり、極めて貴重な図であると思う。このシンプルな図にこそ「構造改革」なるものの実態が明快に示されている。「構造改革」がスタートした時、日本の財政赤字を解消するために既得権益にさえも「聖域なく」メスを入れ、「小さな政府」を実現することで将来の維持・安定を図るものであると理解した人も多かったと思う。しかし7年たった今、はっきり言えることは普通の労働者を奴隷状態に追いやり、そこから収奪した富を大企業とアメリカへ貢いだものであったということである。
通常、企業が労働者を直接雇う場合、時給では3,500円が必要だった。その中には社会保険の事業所負担分があり、それが仮に年間30万円とし、月の労働時間を170時間、特別な休暇を考慮して年間労働時間を2000時間とすると3500円×2000時間-30万円=670万円となり、10年以上前であればそんなに高給とは言えなくても4人家族くらいは充分養っていけるだけの給料であったと言えるだろう。
それが小泉改革により元来、禁止されていた製造業への派遣が広まり、同じような仕事をしているにも関わらず、時給で1000円というレベルまで落とされてしまった。前式にあてはめて計算すると年収で200万円、月収で16万円。国民健康保険と国民年金に加入したならば手取りは15万円もない低賃金である。都市部であれば家賃が最低でも5万円はかかるので10万円ではたして何人養えるだろうか?水光熱費と携帯電話代を払えば手元に残るのはせいぜい8万円。最近の会社は通勤交通費さえ後払いのところが多いので労働者でさえ「運転資金」が必要だし、ユニホームさえ自腹で払わされる会社も多いと言う。
片や、雇う企業の方はどうだろうか?700万円払っていた人件費が200万円で済むようになったということは経営数字で言うとしたら何を意味するのであろうか?ここで3つの指標に登場してもらおう。たった3つなので気楽に読んで欲しい。
1.売上高対総利益率=売上総利益/売上高 2.労働分配率=人件費/売上総利益(付加価値) 3.売上高対経常利益率=経常利益/売上高
会社が付加価値に対してどれだけの人件費を払っているかの指標が労働分配率であり、理想は30%と言われていたが、一昔前は平均的には40%くらいであった。この例のように700万円もらっている労働者は700万円÷40%=1,750万円の付加価値(=売上げ総利益:簡単に粗利高とも言う)を稼いだことになる。
売上総利益率は企業の業種・業態によってまちまちであるが仮に30%とすると1,750万円の売上総利益に対する売上高は1,750万円÷30%≒5,800万円となる。
経常利益は一会計年度における営業利益に営業外損益を加減したもの。経常利益率は企業の通常状態における収益力を測る指標です。※参照 http://www008.upp.so-net.ne.jp/nnkigyou/98kjou.html
上のページでもお解りいただけるように一般的には5%を超えると収益体質としては優良とされます。
ここからが味噌なのですが仮に人件費として700万円を払っていた労働者をリストラし、時間あたり2500円で派遣社員を派遣会社から手配でき、売上高も売上総利益も変わらないとするならば(3500円−2500円)×2000時間+30万円=230万円も人件費が安くつき、それはまるごと経常利益を押し上げることになる。
元の経常利益率を仮に5%だったとすると売上高5,800万円×5%=290万円の経常利益高ということになり、リストラで230万円浮いたならば290万円+230万円=520万円の経常利益高ということになり、経常利益率は520万円÷5,800万円≒9%と急上昇するのである。当然、株主に対する配当は倍になってもおかしくないのである。
2.貧しいのは「自己責任」ではない! 派遣会社は企業から2500円もらってそこから1500円もピンハネし、労働者には1000円わたすだけ。おまけに「すき家」のように残業代を払わなかったり、折口のグッドウィルのように「データ装備費」などという嘘の名目でピンハネをしているのであるから儲かってしかたがない。加えて禁止されている港湾労働に二重派遣で派遣して、事故にあった労働者が救急車を呼ぶことをさせないのであるから、人権無視もはなはだしい。まさに現代の奴隷商人そのものである。そんな経営者が外車を何台も乗り回したり、ブランド物を収納する12畳ほどの部屋を持っていてもそんなライフスタイルには嫌悪こそすれ、なんらうらやましいとは思わない。ただ、残念なのはここまで人間としての尊厳を奪われ、将来になんの希望さえもない状態であるにも関わらず、多くの人たちが「自己責任」なる言葉に騙されて黙っていることである。大阪の友人である遊牧民さんによる「事故責任って自己責任?!」はとても共感できる。救急医療が厚生省の明確な意志によって危機にさらされているにも関わらず、そのことを個人の自己責任で回避することを呼びかけることは体制に媚びを売ることに他ならない。他人に対して「自己責任」を言う人間は今の社会の構造に対して無知であり、たまたま自分がその犠牲になっていないことを自分の努力と勘違いしているのだ。今の日本というのは本来的には世界的なレベルで見れば、ものすごく豊かなのだと思う。であるにも関わらず構造改革の成果によりその富をアメリカに貢いでいるのであるから貧困が蔓延することは不思議ではない。
どうか蟻子の宣伝のように「そんなことはもっと早く教えてヨ〜!」などと気持ち悪いことを言わないで欲しい。それこそ自己責任ではないが自分で追求して欲しいと思うのだ。
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